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【麗し大和】(17)1300年を超えた三重塔(産経新聞)

 れんげ畑が広がるのどかな田園風景に、とけ込むように収まった法起寺(ほうきじ)三重塔(国宝)。創建当時から残る唯一の建物で、ひなびてどこか懐かしい景観は、斑鳩(いかるが)の里の魅力の一つだ。法隆寺、法輪寺とともに斑鳩三塔と呼ばれ、聖徳太子ゆかりの聖地として人気が高い。

 JR法隆寺駅から約2・5キロ。決して便利とはいえないが、徒歩でもバスでも、遠目に見えた塔が近づいてくる期待感がとてもいい。“歩き派”の白洲正子氏が、法起寺をへて法隆寺に向かう道のりを「その間に仏さまを拝むという気持ちが次第に作られていく」(「私の古寺巡礼」)と書いたのも、なるほど。

 法起寺は622年、聖徳太子の遺言で、息子の山背大兄王(やましろのおおえのおう)が宮殿(岡本宮)を寺にしたと伝えられる。塔の完成はずっと後の706年。小さな西門をくぐると池の奥に塔が見え、胴の張った(エンタシス)柱や卍(まんじ)崩しの高欄(こうらん)など、飛鳥様式独特のデザインが目を引いた。三層はそれぞれ、法隆寺の五重塔の初層、三層、五層と同じサイズなのだそうだ。

 創建の由来は、塔の露盤(ろばん)に刻まれていた銘文を写したという文献(鎌倉時代)によるが、銘文は現存せず論議をよんできた。近年、発掘調査で寺の前身、岡本宮とみられる遺構が見つかり、その信憑(しんぴょう)性が高まっている。

 記録を信じるなら今年で1304年。江戸時代には塔しか残っていなかったそうだから、いまこうして眺められるのも、まさに仏の加護といえようか。

 文 山上直子

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